名脇役でいい、シャツのハウススタイルの道を作る
シャツが脇役だったから。靴とスーツさえいいものを着ていればOK、シャツなんて消耗品だからどうでもいいという人が多い時代だった。「果たしてそんなことでいいのか」という反骨精神からシャツを選んだ。
GIVENCHYのシャツアトリエで経験を積み、1986年に久木元亨氏が設立した、日本で初めて高級ドレスシャツの製造、販売を始めた。当時数千円が主流だった業界で数万円のシャツを販売していったシャツのパイオニアといえる存在、ビスポークシャツメーカー「LESLESTON」レスレストンである。
世界を見渡しても、ここまで美しいシャツにはそうは出合えないと多くの服好きたちが “日本一のシャツ”と称賛し、長年のクラフトマンシップによる一切の妥協を許さない物作りと、現代的な感性が生み出した唯一無二のシャツを仕立て続けている。
当時イタリアクラシコ界きってのフランコ・ミヌッチが繰り広げるショップ ”TIE YOUR TIE”でのシャツ作りを氏から直々に受け、全て製作していたのもこちらである。この逸話もすごいのが、当時まだまだ知る人ぞ知るシャツメーカーだったのにも関わらずミヌッチがノーアポでこちらに訪れ、「ここのシャツをやりたい」と言って始まったのだから如何に当時から拘って向き合ってこられたのが分かる。
現在ビスポークを中心にシャツを作り続け、現レスレストンは先代の亨氏は勿論のこと、幼少の頃からこちらで英才教育を受け、若い頃から一線で活躍している2代目陸央氏がメインで番頭を張るようになり、
技術と経験の引き出しを亨氏が、その歴史に新たな感性で技術を又積み上げ、今の時代感を汲んだ提案で陸央氏が導き、二人の代が絡み合う事でより素晴らしい唯一無二の世界的シャツメーカーに登り詰めていると思う。
今回私の要望は、世界基準で見てもハイレベルで最高の普遍性のあるシャツ。モードから逸脱したファッションでは無い、シャツとしてちゃんと装う為のもの。スタイルの軸、ベースになるべき王道的な ”ザ、シャツ”
シャツとしてドレスにも寄り、カジュアルに落とし込んでも揺るがないクオリティ。今の時代感を組んだ空気感。インポートのにおい。
こんな注文を繰り返したと思います。うざいですよね、相手したくないわ。
実績も充分な老舗様。無理と言われても仕方ない。
私「お願いします!」
陸央氏「やりましょう!!」
早。速w。
陸央氏も亨氏も、大袈裟かもですが目が輝いているように見えた。本当に好きなんだなと。面白いと思ってくれたんでしょうか、スイッチが入った音が聞こえた気がした。
なんか最近忘れていたんですが、クリエーターと何かに向かって夢中になって仕事している時だったり会話してる時のあの童心のような目。
ご存知の方は周知でしょうが、私、ものに対しての見方はかなり厳しい方です。しかしこの時、もう勝ち戦では無いですが、見えたんですよね。今回の勝利が。だって熱いんですよ。誰よりも。それでシャツだけで極めてきたその道のプロ。プロがスイッチはいって、より向上心をもって取り組むものなら負けませんよねそりゃ。
そんな馴れ初めでスタートしました。
仕様を語りますと細かすぎ、専門的用語のオンパレード。かなり編集しましたが重く、長いです。すいません。。ただシンプルの物の中にそれだけ詰まってるし割愛したいところですが今回は初回なので綴らせて頂きます。流し目でご覧くださいませ〜
型紙は今回の為に1本線から引いて作って頂きました。
肩甲骨の縦横にゆとりを持たせた展開、前後のバランス、着用時のシルエット、着心地。
運針は1cm間に10針、縫い糸は60番で強度があるが、シルケットかかりの絹のような糸を使用することによる綺麗で洗練された表情を生み出し、又想像出来ないほど細かい。
地襟は中心接ぎ、正バイアスにし、襟先に向かってクセ取りをしている。それによって襟の綺麗な返りを実現、芯地は全てコットン100%のタテヨコ双糸、目付がありそれらを全て正バイアスで使用している為、縮みもほぼ起こらない。
縫い合わせる箇所は直線が一切なく、脇やヨーク付けなども全て身体に沿うように微かにカーブしており、柔らかい印象。
極限まで細くした裾の三つ枚や折り伏せ縫い部分、外周と内周の差は少なくなりパッカリングが少なく、洗練される。
襟とカフス付けは地縫いをしてから返し、さらに叩きつけという通常の付け方よりも工程が多く、それにより強度も増し、裏側のステッチもキワに落とされ美しい。
隠れディティールでは、紳士の拘りとフランスの伝統的ブランドへのオマージュも込め左袖ボタンだけを0.5㎝上にずらす事で、カフスの可動域を広げ時計の収まりをよくし、また時間を見る際に見やすくしてもらった。時計好きとしてこのディティールは一番に入れてもらった。既製ではまず無い仕様だと。
また全ての工程は熟練の職人が3人で仕上げたもので、勿論かかる人数が少ない程、安定感と高品質につながる。
最後に生地はスイスの世界最高峰テキスタイルシャツメーカーで有名な ”Alumo “ に拘った。生地ネームを付けたがらない生粋のイタリア人もこちらのタグだけは付けておきたいとゆうほど信頼されている。自然を活かした環境下での拘った製造だけあって着心地もとても気持ちいい。だいたい以上です。
最後に勝ち戦とほざいてましたが、私が不安からか死ぬほど質問している時もあったんですよね、
その時、
私「◯◯大丈夫なんすか〜?」
陸央氏「自分でいうのもなんですが、パターンと縫製面、設計、丈夫さで言えばレスレストンより上は多分世界中ないですよ。ブランド力や、販売において売りやすいかは、しりませんけども、、
作りの面から言えばそうです、かけてる手間が全然違います。僕の言うのは作り手目線だから、どこに価値を置くかですね。」
あいわかった。(ごちゃってすんません。。)
このプロダクトをベースにすれば目指す所のシャツが出来ると確信。
弊社のベースとなるビンテージ、デザイナー。アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、アフリカなどワールドワイドの文化から創造する世界観。それに適する物。今後の定番シャツが誕生した。
完成時に親父さんがワシも着てやると。さらっと様になる程はさすが。
WEAR WASH ENJOY!!(ガンガン洗ってきて楽しんで!)
Q retailor,